出家をしない真言密教

密教の真理は出家でなくても修得できる

本来、密教の心理は出家して修行することで得られるものとなっていたのですが、在家で修行を行い心理を修得することで世に広めたのが、伊藤真乗を開祖とする真如苑だそうです。
出家をしなければ悟りを開くことができないとなると、どうしても敷居が高くなってしまうでしょう。
真如苑には世界各地で100万人ほどの信者がいるようですが、出家を必要としないということが、信者を増やすことにつながっているのかもしれません。開祖である伊藤真乗がより多くの人が修行できる道を模索した結果、出家をせずに修行をすることができる在家仏教というかたちになったようです。

真如苑の3つの特徴

真如苑の教義は接心、法流、大般涅槃経の3つが特徴となっています。
接心は、日常に生かすということで、自分と向き合う修行となっているようです。ありのままの自分を知ることで、自分を磨くためのヒントを得るというものだそうです。そのヒントを日常に生かすことが教えの基本となっています。これは、古くから仏教のなかでは大切なこととなっているようです。
法流は、僧侶の始めた教団ということで、開祖である伊藤真乗は、京都にある真言宗の醍醐寺で仏教の伝統の法である法流を修めて教団を開いています。時を超えて受け継がれてきた仏教の伝統儀礼に重きを置くというのは、最近の新興宗教のなかでは、珍しい部類に入るようです。
大般涅槃経は、涅槃の教えということで、大乗仏教で読まれる大般涅槃経を教団の中心の経典としています。大般涅槃経は学理的の読まれることは多いのですが、中心の経典とされるのは歴史的にもあまりないようです。真如苑では、大般涅槃経を中心として、最後の説法を説くお釈迦様の姿を謹刻して本尊としているようです。

真如苑の始まり

開祖である伊藤真乗はもともと航空エンジニアであり、僧侶ではなかったようです。1936年に妻とともに仏の道に入る決意をし、醍醐寺で得度を受けて修行を始めたようです。
仏の道に入ることを決めた経緯としては、立川飛行機製作所の技術部門で働いていた頃に仲間の相談にのっていたようです。その相談が評判を呼び、多くの相談者が集まってくるようになったそうです。これは、夫妻の人柄もそうですし、家伝の易学も影響していたようです。
より多くの人の役に立ちたいという思いが日増しに強くなっていく中、縁があり、運慶作と言われる不動明王を迎えることになります。その結果として、1936年に宗教家となる覚悟を固めたようです。
実際に伊藤真乗が教えを広め始めたのはこれよりも後で1953年ことになるのですが、醍醐寺で得度を受けたタイミングを始まりとしているようです。開祖である伊藤真乗は1989年に亡くなっており、現在は娘である伊藤真聰が継主として後を継いでいます。